今回のTIPSでは、「集団的浅慮(せんりょ)」が蔓延ってしまった組織を浄化させる「悪魔の擁護者」について紹介致します。
集団的浅慮(しゅうだんてきせんりょ)とは
皆さんは集団的浅慮という言葉を聞いたことはありましたか?
集団的浅慮とはグループシンクとも呼ばれる現象で、個人だと正しい判断が出来る現象でも、集団で話し合うことで間違った判断を下してしまう現象を指します。アメリカの心理学者によって提唱された考え方です。
特に日本社会においては集団性に重きを置く文化があるため、この集団的浅慮が蔓延っている組織が非常に多いと考えられます。
集団的浅慮が蔓延ってしまうととても厄介な組織となります。
皆さんが所属する組織で次のような事象が発生していませんか?
- 自分たちの意見が最高だという空気感
- 外部パートナーや外部の専門家の軽視
- 質問への強い批判
- 強い同調強要
これらの現象が発生しやすい組織の特徴として、メンバーの結束力が強いというポジティブな要素も含まれることから事態が悪化していることを認識しづらいという厄介さがあります。
また、この集団的浅慮が発生しやすい要因として、組織内での努力が考えられます。
強い結束力で、大きな労力をかけて進めてきたプロジェクトや新規事業に対し、冷静な判断を下すことは非常に困難な心理状態となります。
「これまでやってきた労力が無駄になる…。」「自分たちが失敗するわけがない…。」といった本来の判断に必要ではないバイアスが掛かってしまっています。
組織を引っ張るリーダーがしっかりと組織としての損切りを行う必要がありますが、なかなか出来ない。そうした考えから、これらを未然に防ぐために最適な方法が「悪魔の擁護者」という考え方です。
悪魔の擁護者とは
悪魔の擁護者とは、集団的浅慮が発生している組織においてあえて、反対意見を述べる役割を作る考え方です。
これまで心理的圧力から賛同を強要された感覚を持つメンバーも、悪魔の擁護者がいることで反対意見に対して意見を述べることが出来るようになります。
この悪魔の擁護者のおかげで、本来考えるべきである選択肢が浮上してきます。
誤った意思決定を行わないためにも、皆さんの組織運営に「悪魔の擁護者」を導入してみてはいかがでしょうか。
今回紹介したTIPSは、次の書籍に詳しく説明されています。
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