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アリストテレスに学ぶ
今回のTIPSでは、プレゼンテーションにおける3法則を紹介いたします。
かつてアリストテレスが提唱されたとされる、ロゴス・パトス・エトスの考え方をベースに、聴衆を魅了する人の共通点を紐解きます。
アリストテレスとは
アリストテレスとは、紀元前384〜324年に活躍した古代ギリシアの哲学者です。
当時、知的探求を科学的に探求していた「哲学」を倫理学・自然科学をはじめとした学問に分類し、それらの亜地形を築いた功績者である。そうした功績から「万学の祖」と呼ばれている。
アリストテレスについて知りたいかたはアリストテレス入門をお読みください。
アリストテレス入門
プラトンとならぶ古代ギリシア哲学の巨人アリストテレス。彼はのちのヨーロッパ哲学に影響を与えただけではない。いわゆる三段論法を中心とする形式論理学の基礎を築き、具体・抽象、普遍・個別、可能・現実といった概念を創始して、近代自然科学の発展をささえる知の総合的な枠組をつくりあげた。
「伝わる話」の3要素
そうしたアリストテレスが提唱した、「伝わる」話の3要素を紹介致します。
それが、ロゴス・パトス・エトスです。このロゴス・パトス・エトスの3要素の相乗効果が人の心を動かし、しっかりと伝わる話を醸成することになります。
それでは、実際にロゴス・パトス・エトスについて解説していきます。
ロゴスとは
ロゴスとは、論理を意味します。伝えたい内容を論理的に組み立てる重要性を説いています。
特に、話をする際は具体的な数字を用いて組み立てることが有効だとされています。
話の説得力を増すために最も重要な要素です。
ロゴスがしっかりと意識出来ていれば、話を聞いた人が主張内容の骨格を理解することが出来ます。
ロゴスの文例(悪い例)
今月の新規契約数はどう着地しそう?
今月は、おそらく10件程度になるのではないかと思います。
どうして?
月半ばで5件の契約を獲得していますので、おおよそ2倍の10件と見積もっています。
一般的な会話に見えますが、論理が薄く説得性に欠けますね。
どうして10件の新規契約数となるのかという根拠が、経過日数の倍のみである点が致命的です。
次に、ロゴスを意識した好例を紹介致します。
ロゴスの文例(良い例)
どうして?
今月は、おそらく10件程度になるのではないかと思います。
どうして?
現在、日平均5件のお問い合わせを頂いています。また、現在のお問い合わせに対する新規契約獲得率が10%です。残りの営業日10日間で50件のお問い合わせを頂き、5件の新規契約に繋がると考えています。現在、5件の契約を獲得しているので最終的に10件に到達する見込みです。
ロゴスを意識することで論理的な展開が実現しています。
こういった説明だと上司も踏み込んだ提案が可能になりますね。契約率10%の理由は何故か、どういう改善をすれば良いのかといった建設的な会話が可能になります。
簡単なやりとりでも、論理的に会話するということを意識することで一歩進んだ議論に繋げることが出来るでしょう。
パトスとは
パトスとは、情熱を意味します。熱い気持ちをもって情熱的に伝えることがとても大事です。冷めた雰囲気で熱い内容を話しても伝わりませんよね。熱いパトスを持ってこそ人の心は動かされます。
テキストコミニュケーションにおいてパトスを伝えるコツは、強調したい文章の語尾に「!」をつけることだと思います。
対面におけるパトスは比較的分かりやすいので、テキストコミュニケーションにおけるパトス例を紹介致します。
パトスを意識したテキストコミュニケーション文例
プロジェクトの成功に向けて全力で取り組みますのでよろしくお願いいたします!
何としても成功させたいと思っていますので、一緒にがんばりましょう!
結構熱苦しい面もありますが、ほとばしるパトスは感じますね。(!)
エトスとは
エトスとは、信頼を意味します。ロゴスやパトスを紹介した後に”オチ”のような話になりますが、伝わる話の大前提に信頼される人物かどうかという判断基準があります。
つまり、信頼になる人物=説得力のある人物かどうかという判断基準が存在します。
関西人がよく言う「誰が言うとんねん」「どの口が言うとんねん」はまさしく、エトス不足な例ですね。
例えば次のような人の話は信頼出来ませんよね。
・海外に行ったことない人が海外の魅力を語っていても信頼できない。
・サービスを全く使っていない人にサービスの営業をされても信頼できない。
エトスを獲得するためには、日々の行い・仕事の成果・資格・実績・話し方など様々な努力が必要です。一筋縄にはいきませんが、一度培ったエトスはなかなか崩壊しません。じっくりとエトスを蓄えていきましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ロゴス・パトス・エトスを意識してしっかりと伝わる話を研究していきましょう。
ただし、エトスだけを意識してしまうと誤った判断を下してしまうこともあります。
過去に紹介した「集団的浅慮」状態もエトスだけが高まってしまった集団心理だと考えられます。
集団的浅慮について学びたい方はこちらのTIPSをご覧ください。
集団的浅慮が蔓延った組織を浄化させる『悪魔の擁護者』を考えるTIPS